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小代焼一先窯 山口友一さんが語る、作品への想いとは?

小代焼一先窯 山口友一さんが語る、作品への想いとは?

10/29よりスタートする『JAPAN TRADITIONAL CRAFTS WEEK』が、今年も開催。都内に点在するライフスタイルショップを巡りながら、全国各地の伝統工芸品に触れながらお買い物を楽しめるイベントです。
8回目となる今回は、青山・銀座・中目黒の3エリアの38ショップで展開。
It’s so easyもそのショップの一つとして参加しています。It’s so easyでは小代焼一先窯から山口友一様の作品を展示・販売いたします。
この期間を皆様にも存分に楽しんでもらえるよう、今回は陶芸家の山口友一様に直接インタビューをいたしました。作品への想いも一緒にお届けできたらいいなと思っております。

【以下、インタビュー】
It’s so easy:先ずは小代焼一先窯について簡単にご説明をお願いいたします。

山口さん:小代焼とは熊本県にある小岱山という山で400年前から焼かれている歴史ある焼き物です。元々はお殿様の抹茶椀などを作っていて、国の伝統工芸に指定されている焼き物のひとつとなります。小代焼一先窯は父が一代目で私が二代目となります。

It’s so easy:山口さんが小代焼を始める大きなきっかけになる出来事などはありますか。

山口さん:父が小代焼を作っていたのはもちろん大きなきっかけですが、もともと小代焼は民芸品なので、ぼってりしていて重厚感のある器というイメージをもっている同世代の方が多かったんですね。それなら同世代にも「小代焼ってかっこいいよね」と言ってもらえるようなそんな作品を作りたいという思いがあったのが、大きな始まりだった気がします。

It’s so easy:なるほど。確かに山口さんの作品はスタイリッシュでありながら、和でも洋でも格好よくはまる、そんな第一印象を受けました。元々、小代焼の定義みたいなものはあるのでしょうか。

山口さん:はい。一応定義はありまして、小代焼は鉄分の多い土(小代粘土)を用いて、藁を主原料にした藁灰釉(わらばいゆう)が掛かっているのがまずベースとなっています。私はそれを用いたうえで、自分自身が考える作風や使用感を考え、アレンジしながら作品に落とし込んでいます。一番わかりやすいところだと、作品の中に青小代のプレートがあるのですが、中が伝統的な藁灰釉で、プレートの淵の部分は黒く染めて焼き付けています。そうすることで青の色味が引き締まり、小代焼ではあるが、従来のイメージにあるぼってり感ではなくシャープな印象へと仕上げています。染めの顔料も昔から陶磁器で使われている天然のものを使用しています。

It’s so easy: なるほど。今回展開する作品の中でその手法を感じ取れるというわけですね。
ますます楽しみになってきました!
先ほどお話の中にもでてきました青小代のプレート。山口さんの作品の中でとても印象に残る作品でした。やはりこの「青小代」はファンの方たちからも指示が高いシリーズだったりするのでしょうか。

山口さん:そうですね。私の作品の中でも「青小代」は人気の高い作品のひとつです。実はこの青ってとっても色を出すのが難しいんですね。言葉のニュアンスを選ぶとちょっと伝えにくいのですが、青小代って小代焼の得意なところではないんです。例えばですが、窯の中でも温度が違うので、5個同じように制作して焼き上がりを見てみても、それぞれ同じ青を再現できているかといったらそうじゃない。窯の隅っこに置いておいた作品が、たまたま言葉では表現できないような「良い青」を持って出来上がる、そんな瞬間もあります。「偶然にできた」と言ってしまえばそれまでですが、これこそ明確な理由をもたない神秘的な作品と捉えれば、私が作る青小代シリーズの大きな魅力かなとも思っています。

It’s so easy:同じ色を再現できない難しさがあったとは驚きです。
見ているだけでも引き込まれるような独特な「青」ですよね。
同じ色味(風合い)に出会えない青小代シリーズは、手に取るお客様にとっても、一期一会の器になるなんてすごく魅力的です。ちなみに黒釉シリーズは、どれもシックでインテリアのオブジェとしても成立してしまうようなデザインの格好の良さでとっても好みでした。個人的な意見になってしまいますが、コーヒーや紅茶が好きなので、急須やコーヒードリッパー&サーバーは特に気になっています。

山口さん:ありがとうございます。急須もマグ同様、片手で注ぐときの持ち手のサイズ感や、お湯の注ぎ口にも拘って作っているんですよ。特に急須によくみられる「ぽこぽこ」とお湯が出てくるリズム。あれを「スーッ」となめらかにお湯が出るようにするにはどうしたらいいのかな?と考え、計算しながら作っています。また、急須特有の液だれのストレスも回避できるような構造に仕上げています。そして、リクエストいただいたコーヒードリッパー&サーバーですが。。。これ、制作に時間がかかるんです。というのも実はドリッパーの部分を手で作っています。つまり「型なし」ですね。なので量産できず、同じものを作っても、ひとつひとつ表情が違う仕上がりになります。お時間を頂戴できる方のみ、今回は受注にて承る。そんな作品です。(笑)

It’s so easy:えっ!ドリッパー部分を型なしの手作業で仕上げているんですか!?それを聞いてますます欲しくなってきてしまいました。
手に入れたときの喜びはなんとも言えない至福感だろうなぁ。
これでコーヒーをドリップしたい衝動がますます止まらない。

山口さん:実は、黒釉シリーズも使っていくうちにまた違う深みが出てくるんです。陶器って水分を含むとどんどん水分が定着して艶がでてくるんですね。とくに黒釉シリーズは5~6年くらい使うとしっとりとした美しい質感の艶がでてきます。それもまた使い込んでいく楽しみのひとつなのかなと思います。

It’s so easy:ひゃー!やっぱり欲しい!お話を聞けば聞くほど、山口さんの作品の深みにはまりそうな魅力がいっぱいです。最後になりますが、作品を作る上で一番の「拘り」そして作品への「想い」のようなものがあればぜひお聞かせいただけますでしょうか。

山口さん:そうですね。使い勝手の良さはもちろんのことですが、それを踏まえた上での幾つかの拘りはあります。まずは作品を見たときの横からのシルエット。使っているときだけでなく、棚に置いているときも見栄えが良くなるフォルムになるよう計算しています。
もうひとつは、深みを大事にしています。作る工程の中にも深みが増すような工夫は凝らしていますが、それとはまた別の意味での「深み」も大切にしています。器も、暮らしの一部として時間を刻んでいくことで独特な「深み」がでますよね。何十年か経って器にも味が出てきたころ、ふと、テーブルにあるお皿に光がさしこんで、「ああ、やっぱりいいな、買ってよかったな」と感じてもらえるような、飽きのこない器を作り出すことが一番の理想なんです。

It’s so easy:わぁ、とても素敵な想いがあるんですね。お話の情景が目に浮かびます。そんな想いが込められていると思うと、ますます自分のライフスタイルをイメージしながら、ずっと使い続けたい特別な「ひとつ」をたくさんの方々に見つけに来てもらいたくなりますね!

山口さん:本当にそうですね。是非、たくさんのお客様に実物をご覧いただき、実際に手に取って選んでいただけたらとても嬉しいです。

It’s so easy:イベント期間のメイン会場は青山スクエアで開催。青山スクエアでも山口様の作品が数点展示されます。山口様の作品の販売会場はIt’s so easyがメインとなります。みなさまのご来店を心よりお待ちしております♪

※次回第2回インタビュー記事では、販売商品のQ&Aをお届けいたします。 

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